「ヒトの体内に住む細菌」と聞くと、真っ先にビフィズス菌などの腸内細菌を思い出す人が多いかと思います。
実は細菌がいるのは腸内だけではありません。
細菌は口の中、皮膚の表面、胃の中などありとあらゆる場所にいます。
そして人間の体内に生息しているのは細菌だけではありません。細菌に感染するバクテリオファージも人間の体内に数多く生息しています。
人間の体内に生息する細菌が私たちの健康を保つ上で果たしている役割についてはかなり前から注目されてきました。恐らく皆さんの中にも、健康効果を期待して、日々の食事にヨーグルトを取り入れているという方もいらっしゃるのではないかと思います。
一方、体内に生息しているバクテリオファージが私たちの健康を保つ上で果たしている役割については、細菌と比べてあまり注目されてきませんでした。しかし、近年の研究では、バクテリオファージは、人間の体内に存在する微生物の複雑なネットワークを調整する役割を果たしていると考えられることから、実は人間の健康に密接にかかわっているのではないかと指摘されています。
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体内に生息するバクテリオファージに関する研究はまだ始まったばかり。体内にはどのくらいの種類のバクテリオファージがどのくらいの数いるのか等まだまだ分からないことが沢山あります。
今後も新たな研究成果に注目していきたいと思います。
ウイルスの調整能力
ファージに限らずウイルス一般は一つの種だけが異常に増殖するのを防ぐ役割を担っています。唯一人間だけがウイルスの攻撃をワクチンなどの手段で回避し、その結果地球上の総人口は76億人にも達しました。
細菌による感染症も病原菌が異常増殖することに起因します。従って、増えすぎた病原菌をファージで制御するのは自然の理に適った方法であると言えるでしょう。