バクテリオファージとニキビ

ニキビの救世主!?バクテリオファージの働き

2020.10.15

この記事の要点は…
  • ✓健やかな肌のキーワードは「菌バランス」
  • ✓ファージはニキビ原因菌を退治する
  • ✓ファージは自分がターゲットとしない細菌には見向きもしない
  • ✓ファージは菌バランスを調整してくれる!

健やかな肌のキーワードは「菌バランス」

「菌バランス」と聞くと腸の菌バランスを思い浮かべる方が多いかもしれません。

実は菌は腸内だけではなく、肌にも生息しています。

そして、肌にいる菌はバランスを取りながら、ニキビのない健やかな肌を作ってくれています。

肌にいる菌の働き

肌に微生物がいると聞くと気持ち悪いと思う方もいるかもしれません。しかし、実は肌にいる微生物の多くはヒトにはない機能を持っていて、肌をニキビのない状態に保つ上では欠かせない存在となっているのです。

肌に生息する善玉菌は次のような働きをしてくれています
  • ✓病原菌から肌を守る
  • ✓皮膚の炎症を抑える

しかし、皮脂の分泌が活発化するなどして毛穴がふさがってしまうと、アクネ菌が皮脂をエサに過剰に増殖してしまいます。すると、毛穴の中で繁殖したアクネ菌などの菌に対抗するため、身体の免疫システムが働き、炎症が引き起こされます。この赤く腫れあがった状態を赤ニキビと呼びます。

このようにして出来た赤ニキビを治すためには、増えすぎてしまったニキビ原因菌を減らして善玉菌がいきいきと働ける環境を作ることが重要です。

菌バランスを整える!バクテリオファージ

では、菌バランスを整えるにはどうすればよいでしょうか?

実はバクテリオファージ(以下、ファージ)の力を借りれば、菌バランスを整えることができるんです。

アクネ菌や黄色ブドウ球菌などニキビ原因菌をターゲット(宿主)とするファージは、ニキビを引き起こす細菌にだけ感染します。例えばアクネ菌をターゲットとするファージはアクネ菌を退治することができたとしても、大腸菌のような別の種類の細菌には見向きもしません。

ファージは脚についているセンサーを使って、ニキビ原因菌の目印を探します。そして、ファージはニキビ原因菌の目印を見つけるとニキビ原因菌に感染します。

ニキビ原因菌に感染したファージはニキビ原因菌の中で増えて、ニキビ原因菌を溶かしてしまいます。

ニキビ原因菌がある程度少なくなると、ファージもそれに合わせて少なくなっていきます。

バクテリオファージがターゲットにするのは増えすぎた菌だけ!

「バクテリオファージがニキビ原因菌を全滅させてしまうと、悪い影響があるのではないか」と心配される方もいらっしゃるかもしれません。

実はバクテリオファージはターゲットとする菌を全滅させることはありません。

バクテリオファージは細菌の密度が低下すると細菌に感染しにくくなります。これは、ファージが細菌と巡り合う確率が低下するからです。

自然界では何らかの理由で突発的に数が増えた細菌があると、バクテリオファージが細菌に感染しやすくなります。 つまり、バクテリオファージは増えすぎた細菌を溶菌することで細菌のバランスを整える役目を担っているのです。 このようなことを考えると、バクテリオファージは菌のバランスをちょうど良い状態に整えてくれる自然界のモデレーターということができるでしょう。

コラム:1週間の使用でニキビの数が約50%減少!

ニキビの症状で皮膚科を受診した被験者24名(平均年齢20.8歳)に、「バクテリオファージ」を含む化粧品を1週間、朝晩2回使用してもらいました。その結果、顔にあるニキビの数が平均49.57%減少しました。

さらには、7日間の使用で73%が症状の改善を指摘。赤みが引いた日は平均3.8日目、ほとんど治った日は平均6.0日目でした。

バクテリオファージ入り化粧品を1週間使用した代表症例

レーザー処置後の炎症抑制効果

レーザー処置を受けた31~64 歳の患者20 人を対象に、レーザー処置の後、実験群にはバクテリオファージ入り化粧品、対照群にはパンテノールを用いたスプレーを使用してもらいました。 レーザー処置の前、2 時間後および1 週間後に色素評価※1 とドップラー測定※2 を実施。実験群は色素評価指標、ドップラー指標のいずれも変化せず、炎症反応は見られなかった一方、対照群では初期値より色素評価指標は31.6%、ドップラー指標は36.7%増加しました。

※1 Glossymeter GL200® を用いてジェル使用前後の皮膚表面光沢度を比較した。 ※2 レーザー光を生体組織中に照射したときに赤血球で散乱される光のドップラーシフト周波数の広がりから組織血流量を推定するレーザードップラーフローメトリー(LDF) 法を利用。

出典:A.Zurabov, et al. "Fagovyj preparat" Fagoderm" i perspektivy ego ispolʹzovanija v dermatologii i kosmetologii." Vestnik èstetičeskoj mediciny 11.3 (2012): 56-63.


参考文献: Wiggins BA, Alexander M. Minimum bacterial density for bacteriophage replication: implications for significance of bacteriophages in natural ecosystems. Appl. Environ. Microbiol., 1985, 49: 19-23. Wommack KE, Ravel J, Hill RT, Colwell RR.  Hybridization Analysis of Chesapeake Bay virioplankton. Appl. Environ. Microbiol., 1999,65: 241-250. M. Morita, Y. Tanji, K. Mizoguchi, T. Akitsu, N. Kijima and H. Unno. Characterization of virulent bacteriophage specific for Escherichia coli O157:H7 and analysis of its cellular receptor and two tail fiber genes, FEMS Microbiol. Letter, 211, 77-83 (2002)

この記事を友達にシェアしよう!

この記事を友達にシェアしよう!ニキビの救世主!?バクテリオファージの働き

関連記事