食中毒は、有害な細菌やウイルス、有毒な物質などを含む食品を食べることによって引き起こされる病気です。 食中毒は時には命に関わることもあり、日本では毎年数人が食中毒により命を落としています。
- ・カンピロバクター
- ・サルモネラ菌
- ・黄色ブドウ球菌
食中毒を予防する上では、原因菌の特性をよく理解し、原因菌を退治することのできる手段を選ぶことが重要です。 食品メーカーは細菌やウイルスによる食品汚染を防ぐために、さまざまな方法で徹底的に殺菌処理を行っています。
食の安全とバクテリオファージ
食品の殺菌を行う上では、有害な菌を退治できるかどうかだけではなく、食べ物の風味や外観に悪影響がないということも重要な要素となっています。
実は今アメリカでは、食べ物の風味を損なわずに有害な菌を退治する手段の一つとしてバクテリオファージ(以下、ファージ)が注目されています。
アメリカ食品医薬品局(FDA)は2006年、殺菌を目的としてイントラリティクス社(Intralytix)が開発したファージ入りスプレー「ListShield™」を加工肉や鶏肉に対して用いることを承認しました。「ListShield™」にはリステリア菌をターゲットとするファージが入っており、「ListShield™」を肉に直接吹き付けることにより、肉の表面に付いたリステリア菌を退治することができます。
イントラリティクス社はこのほか、腸管出血性大腸菌O157などを抑制する「EcoShield™」、サルモネラ菌をターゲットにした「SalmoFresh™」を販売しています。FDAはこれらの商品についても安全性と効果も認め、食品に対して用いることを承認しました。
広がるファージの利用
食の安全のためのファージ製品を製造しているのはイントラリティクス社だけではありません。現在アメリカ以外にオランダ、ドイツ、中国などの会社が食の安全のためのファージ製品を製造しており、イスラエル、カナダなどで食品添加物としての使用が認められています。
今後もますます広がるであろうファージの応用から目が離せません。