バクテリオファージの広がる活用方法

バクテリオファージと善玉菌の違い

2020.01.20

この記事の要点は…
  • ✓菌は一般的には「悪玉菌」「善玉菌」「日和見菌」に分けられる
  • ✓善玉菌は悪玉菌の増殖を妨害している
  • ✓善玉菌とファージの大きな違いは「悪玉菌へのアプローチ法」

ヒトの体内にいる細菌

人間の体内には多くの細菌が共存しています。なかでも消化管(胃、小腸、大腸)の中には数10兆~100兆ものバクテリアが存在しているとされています。消化管の中でも大腸に棲むバクテリアの量が圧倒的に多く、その割合は全体の99%以上になります。

バクテリアを、ヒトの健康に善い影響を及ぼす「善玉菌」ヒトの健康に悪い影響を及ぼす「悪玉菌」、そして普段は無害であるものの、ヒトの感染抵抗力が低下すると悪い影響を及ぼす「日和見菌」に分けることがあります。

いったい「善玉菌」「悪玉菌」とはどんな菌なのでしょうか。

悪玉菌と善玉菌の違い

・悪玉菌

悪玉菌の代表は病原菌です。病原菌は病気をもたらす菌ですから「悪玉菌」とされるのは当たり前です。病原菌の例として大腸菌O157:H7、サルモネラ、黄色ブドウ球菌、赤痢菌が挙げられます。病原菌の多くは毒素を消化管で生産し病気の原因を作ります。

病原菌には分類されませんがウェルシュ菌に代表される悪玉菌はタンパク質を主に分解し、アンモニア、硫化水素、インドール、スカトールなどの有害物質を作ります。このような悪玉菌によって有害物質が作り出されることを腐敗と呼びます。

有害物質に共通な特徴が「クサイ」ことです。クサイおならは有害物質が消化管で生産されている証拠です。有害物質はオナラとして排出される以外に血流によって全身にまわり、肌荒れの原因などにもなります。発がん物質を作ったり免疫力を弱めたりする悪玉菌の存在も指摘されています。

・善玉菌

それでは善玉菌とはどのような菌なのでしょう?

乳酸菌が善玉菌であることはよく知られています。
しかし、なぜ乳酸菌が健康に良いかはあまり知られていません。乳酸菌とは、消化管の中で乳酸を作る菌の総称です。乳酸菌は乳酸を生産します。乳酸は消化管の上皮細胞(消化管表面を覆っている細胞)のエネルギー源となるので、乳酸菌を摂取することで腸の働きが活発になり、便秘や下痢を予防することができたり、病気に対する抵抗力が高まったりします。また悪玉菌の多くは酸性環境を苦手としているのですが、乳酸は周りを酸性にすることで悪玉菌を減らす役割も果たしています。

乳酸に限らず、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの脂肪酸を作る菌も善玉菌の仲間です。

善玉菌を増やすには

・食物繊維を摂取する

善玉菌の多くは食物繊維をエサに増殖します。食物繊維とはヒトが作り出す胃液、胆汁、すい液、腸液などの消化液によって分解できない食物の総称で、野菜や果物、コンブ、きのこなどに多く含まれています。

従って善玉菌を増やすにはこれら食物繊維を多く摂ることが重要です。
因みに脂肪酸を作る善玉菌以外にもビタミンを作る善玉菌なども存在します。

・バクテリオファージを摂取する

上記に述べた方法以外にも善玉菌を増やして悪玉菌を減らす秘策があります。

それはバクテリオファージ(ファージ)を使った菌バランスのコントロールです。
ファージは細菌(バクテリア)に感染します。細菌に感染したファージは細菌の中で増え、感染後期に細菌を溶かし(溶菌)、増えた子ファージを細菌外に放出します。

それぞれのファージは特定の細菌にしか感染することができません。例えばアクネ菌をターゲット(宿主)とするファージはアクネ菌を退治することができたとしても、黄色ブドウ球菌には見向きもしません。

このようにファージは自分の宿主以外には見向きもしないという特性を持っているので、悪玉菌をターゲットとするファージを使えば、善玉菌がイキイキと働けるような健やかな菌バランスを取り戻すことができます。

善玉菌とバクテリオファージの違い

善玉菌を利用したアプローチとファージを利用したアプローチの一番の違いは、病原菌に対する作用の仕方です。
善玉菌は利用できるエサを独り占めにし、周りを酸性にすることで、悪玉菌の増殖を妨害しますが、悪玉菌を直接殺すことはできません。一方、ファージは細菌を直接殺すことができます。

アメリカでは善玉菌とファージが異なるアプローチで悪玉菌に作用していることに着目して、ファージと善玉菌の両方を含むサプリメントが開発され、腸内フローラを整えるために販売されています。

ファージセラピーは善玉菌とは違ってまだまだ一般的には知られていませんが、今後が楽しみな分野だと思います。

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