今話題の「S.ホミニス」

2025年2月25日放送の日本テレビ「新科学で花粉症＆アレルギー大改善SP」で取り上げられ、話題となった「S.ホミニス」という美肌菌をご存じでしょうか？

S.ホミニスは、肌に常在する菌の一種で、毛穴の目立ちやシワ、メラニンの抑制への効果が期待されることが研究で報告されており、肌の健康をサポートする重要な存在として注目されています。

肌の健康を守るためには、美肌菌を増やすだけでなく、肌に悪影響を与える菌をコントロールすることも重要です。

この記事では、S.ホミニスの特徴や美肌への効果、さらにピンポイントで悪玉菌だけを退治する「バクテリオファージ」を使った新しいニキビ治療法についてご紹介します。

S.ホミニスとは？

S.ホミニスは、ブドウ球菌属に属する常在菌で、ほぼすべての人の肌に存在しています。特に腋下や頬などに多く見られ、肌の健康をサポートする役割を持っています。これまで、肌の常在菌としてはこれまで「表皮ブドウ球菌（Staphylococcus epidermidis）」が注目されてきましたが、近年の研究で、S.ホミニスは毛穴の目立ちやシワ、メラニンの抑制に効果をもたらす可能性があることが分かってきました。

一方で、S.ホミニスは腋臭の原因菌の一つとしても知られています。腋臭は、汗腺から分泌される物質を肌にいる菌が分解して揮発性の臭い物質に変えることで引き起こされます。臭い物質の生成に複数の菌が関わることやS.ホミニスが主要な役割を果たすことが報告されています。

このように、S.ホミニスは美肌菌としての側面と、腋臭の原因菌としての側面を併せ持つ興味深い菌です。

S.ホミニスが注目される理由

S.ホミニスは、美肌効果をもたらす菌として注目されています。研究によると、S.ホミニスが多い肌は毛穴が目立ちにくく、肌のトーンが明るい傾向があることが分かっています。また、肌のバリア機能をサポートし、紫外線や酸化ストレスから肌を守る働きもあるとされています。

美肌の鍵は「菌バランス」

肌の健康を保つためには、S.ホミニスだけを増やせば良いわけではありません。肌には善玉菌、悪玉菌、日和見菌がバランスよく存在しており、このバランスが崩れると肌トラブルが発生します。

肌にいる微生物の多くは、肌を健やかに保つ上では欠かせない存在です。例えば、赤ニキビの原因となるアクネ菌も、通常は肌を健やかに保つ働きをしています。しかし、過剰な皮脂分泌などで毛穴が詰まるとアクネ菌が増殖し、赤ニキビが発生します。このようにできた赤ニキビを治すには、増殖したアクネ菌などのニキビ原因菌を減らして、善玉菌がいきいきと働ける環境をつくることが重要です。

治らない赤ニキビにバクテリオファージ

私たちの肌を健やかな状態に保つには、菌バランスがとれた環境を作ることこそが重要となります。
では、菌バランスのとれた環境を作り出すにはどうしたらよいのでしょうか？
その環境を作り出すことができるのが、今注目されているバクテリオファージです。

バクテリオファージがお肌の菌バランスを整えるのに重要な役割を果たす理由は3つあります。

理由1　狙った菌だけを退治する

バクテリオファージは、一般的な殺菌成分のようにお肌を守る善玉菌も殺してしまうのではなく、自分が感染できる相手（宿主）を厳密に見分ける能力があり、狙った菌にだけにとりつき、自己増殖しながら宿主を溶菌します。
例えば、ニキビ原因菌をターゲットとするバクテリオファージは、赤ニキビを引き起こすニキビ原因菌のみを溶菌します。
宿主以外の菌には感染することができないので、複数の菌がニキビの原因菌である場合は複数の菌に感染できるファージの混合液（ファージカクテル）を用いる必要があります。